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礼節がない組織は、いずれ「解体」される。――礼節という最強の組織戦略

私は恐らく第一印象として「真面目そうな」とか「お堅そう」と見られると自己分析しています。深く付き合っていった本当の私の話は割愛しますが、私は「礼節」を重んじていることは事実で、そんなオーラが第一印象に大きく影響しているかもしれません。

「最近、会社の空気が重い」「上司の言動にモヤモヤする」「部下が全然ついてこない」――そんな悩みを抱えている浜松・静岡のビジネスパーソンのみなさんへ。

あなたのそのモヤモヤ、実は「礼節の欠如」が原因かもしれません。

礼節? そんなの昭和の道徳教育で終わった話だろうって? いやいや、現代のビジネスにおいて、礼節はむしろ“最強の生存戦略”です。礼節がない組織は、いずれ人が離れ、信頼を失い、そして静かに「解体」されていくのです。

今回は、クリスティーン・ボラス著『Think CIVILITY』を参考に、「礼節」がいかに組織と個人の命運を分けるかを、浜松・静岡の現場感覚に寄せて、鋭く、そしてちょっと皮肉を交えて語っていきます。

無礼は伝染する。礼節のない組織は、静かに腐っていく

まず最初に断言します。無礼は、ウイルスです。

一人の無礼な社員がいるだけで、職場全体にその空気は伝染します。しかも厄介なのは、無礼な人ほど自覚がない。むしろ「自分は正しい」と思っているからタチが悪い。

研究によれば、無礼な扱いを受けた人は、他人に協力する意欲が3分の1にまで減少するそうです。つまり、無礼な社員が一人いるだけで、チームの生産性はガタ落ち。しかも、無礼はストレスを生み、ストレスは健康を蝕み、最終的には寿命にまで影響するというから恐ろしい。

浜松や静岡の製造業や建設業の現場でも、「あの人がいると空気が悪くなる」と言われる人、いませんか? その人が組織の“解体スイッチ”を押しているかもしれません。

礼節がある人は、なぜか出世する。なぜか人が集まる。

逆に、礼節を持つ人は、なぜか出世します。なぜか人が集まります。なぜか仕事が舞い込みます。

なぜか?

それは、礼節が「信頼」を生むからです。信頼は、ビジネスの通貨です。どんなに能力が高くても、信頼されなければ人はついてきません。逆に、礼節ある人は「この人となら一緒に働きたい」と思わせる力を持っています。

浜松で事業を営む企業の社長さん、俺様最高という全能感オーラを隠せない方ばかりではなく、礼節を重んじる社長さんも多くいらっしゃいます。
現場の職人にも、取引先にも、近隣にも、どんなステークホルダーにも丁寧に接する。するとどうなるか? クレームが減り、紹介が増え、仕事が絶えない。礼節は、営業トークよりも強力なマーケティングなのです。

礼節ある組織は、なぜ強いのか?

礼節ある上司がいるチームは、生産性が高い。これは感覚ではなく、データで証明されています。

なぜか? メンバーが安心して意見を言えるからです。ミスをしても責められないから、挑戦できる。上司が部下を人として尊重するから、部下も上司を信頼する。こうした「心理的安全性」が、組織の強さを支えているのです。

礼節を重視する経営者のもとでは、離職率も大幅に低下します。社員が「ここで働き続けたい」と思える職場には、必ず礼節があります。逆に、礼節のない組織は、いくら福利厚生を整えても、人は定着しません。

日本社会の礼節:美徳か、足かせか?

さて、日本社会における礼節は、世界的に見ても独特です。敬語、上下関係、空気を読む文化――これらは一見美徳ですが、時に「本音を言えない」「忖度が横行する」などの弊害も生みます。

浜松や静岡の企業でも、「若手が意見を言わない」「上司に逆らえない」といった声をよく聞きます。これは、礼節が「形式」になってしまっている証拠です。

本来の礼節とは、「相手を尊重すること」。それは、時に率直に意見を言うことでもあります。礼節とは、黙って従うことではなく、相手を思いやって行動することなのです。

海外との比較:礼節のグローバルスタンダード

アメリカでは、率直さが礼節とされます。言いたいことを言わないのは、むしろ無礼。ヨーロッパでは、時間を守ることが礼節。遅刻は最大の侮辱。中国や韓国では、年齢や地位による序列が重視されます。

つまり、礼節の形は国によって異なります。しかし、共通しているのは「相手を尊重する姿勢」です。

グローバルに展開する企業にとって、文化の違いを理解し、柔軟に対応する力が求められます。浜松・静岡の企業も、今後ますます外国人労働者や海外取引が増える中で、「日本式の礼節」だけでは通用しない場面が増えていくでしょう。

礼節を高めるために、今すぐできること

では、どうすれば礼節を高められるのか? 難しいことはありません。まずは「笑顔」です。

大人になると、1日に笑う回数は20回以下。しかも、意識しないと無表情になりがち。でも、笑顔は最強のコミュニケーションツール。相手に安心感を与え、信頼を築く第一歩です。

次に、「相手の立場で考える」こと。自分が良かれと思ってやったことでも、相手が不快に思えば、それは無礼。礼節とは、相手の感じ方を尊重することです。

そして最後に、「損得で礼節を判断しない」こと。礼節は、打算ではなく、信念であるべきです。礼節を貫く人は、最終的に信頼され、選ばれます。

解体か、再生か――礼節が組織の未来を決める

礼節のない組織は、いずれ崩れます。人が離れ、信頼を失い、静かに「解体」されていくのです。

逆に、礼節ある組織は、強く、しなやかに、成長します。人が集まり、信頼が積み重なり、未来が拓けていきます。

浜松・静岡の企業内で、組織や人間関係がガタガタ崩れ落ちていると感じている方、再生の鍵は「礼節」にあるかもしれません。

ただいま、社長就任一か月半。私たちは、礼節を重んじる企業として、信頼関係の構築にも全力を尽くしていきたいと強く思っています。

筆者紹介:風を読む人事家
自動車業界で、人事~海外子会社CEO~人事担当役員などを経て当社へ。社員の幸福感・血の通った組織・業績と経営へのインパクトに拘って、あらゆる人事・組織の理論と実践を行き来しながら、組織という名の“生き物”と格闘してきた。フィールドを建設業界に移し、今日も人と組織の“幸福感”を追求中。
週末のライフワークである人事・組織理論の読書の傍らで徒然なるままに書き溜めたブログです。
建設業のリアルな現場でも実践し得られたことの共有や、人事・組織論の視点から、世の中の矛盾や不条理を鋭く、時に皮肉を交えて切り取ります。
業種を問わずさまざまな企業の中で「なんとなくモヤモヤしている」「組織の中で立ち止まっている」そんなあなたの思考に一石を投じるヒントがここにあるかもしれません。
2025年7月より当社代表取締役社長