お役立ち情報 / お知らせ
- 浜松の解体業者 丸友開発 トップ
- お役立ち情報 / お知らせ
- サイトマップ
#029 “仕事ができる”は誰が決める?——防衛機制を超えて成果を出す
仕事が出来る人と出来ない人、その違いは?
「この人、仕事できるな」と感じる瞬間。
逆に「なんでこんなに噛み合わないんだろう…」とモヤモヤする瞬間。
——あなたの職場にも、そんな場面はないだろうか?
「仕事が出来る人と出来ない人の違いは何か」。
私は、この問いにこう答える。
ものごとを「相手軸」で考えられるか/「自分軸」でしか考えられないかという“軸”の違いに尽きる、と。
理由は単純、ビジネスとは価値交換だからだ。
ビジネスの本質は「価値交換」
顧客は、商品・サービスに“支払うに値する価値”を感じたときに、はじめてお金を払う。
社内も同じで、上司、営業、現場、バックオフィス——すべては「価値を届けようとしている人」が顧客と言ってよい。
つまり、相手が欲している価値を提供できているかで仕事の良し悪しは決まる。当たり前のようで、職場ではしばしば忘れられる。
顕在価値から“潜在価値”へ
——相手軸がない提案は刺さらない
生活は便利で欲しい物は何でも手に入る現代では、顧客が認識している顕在ニーズだけでなく、顧客自身がまだ認識も言語化も出来ていない潜在的な価値を見出して提案することが求められる。
このとき、相手の状況・目的・制約・恐れまで想像し、考え抜く「相手軸」がない提案は、ほぼ刺さらない。
自分軸 vs 相手軸の提案(例)
自分軸の提案:「うちの技術はすごい」「この新機能が革新的」
→ 話の中心が“自分たちの強み”。相手の文脈に置かれていないため、心に届かない。
相手軸の提案:「御社の△△工程を短縮し、✕✕のリスクを下げるために、この機能をこのように使うと、月次の◇◇が改善します」
→ 相手の“現場での使われ方”と“成果”に結びつけて語るため、意思決定の土俵に乗る。
「相手軸」にシフトできるのか?
私は、組織のメンバーたちの性格や特性を「変える」という発想はおこがましいし、変えようとすることに労力を使うくらいなら、その人の良さを活かすことに使いたいと考えている。
それでも、相手軸へのシフトは、ビジネスの成否に直結するため、あきらめられない。
では、なぜ人は自分軸になるのか。そしてどうしたら相手軸に近づけるのか。そもそも変わるものなのか。いや、変わるものであって欲しい。
自分自身が自分軸と相手軸とを行き来している時の心理状態から、そのヒントが、心理学の防衛機制にあるのではないか——これが本稿の仮説だ。
防衛機制とは——なぜ“自分軸”を強化してしまうのか
キャリアコンサルタントの学びで知った「防衛機制」とは、自我を守るための無意識の心理的働きである。人はストレスや不安、葛藤に直面したとき、心の安定を保つために現実の受け取り方や振る舞いを調整する。この機能自体は誰にとっても必要なものだが、ビジネスの現場では「自分が傷つかないこと」「自分の正しさを守ること」が優先されやすい。その結果、現実から目をそらす、責任を他者へ押し付ける、対話を避ける——といったかたちで、無意識のうちに“自分軸”が強化されてしまう。防衛機制が強く働くほど、相手の立場やニーズよりも自分の安心や正当化が行動や判断の軸となり、視野が狭まる。これが、仕事の質を下げてしまう理由でもある。
防衛機制の種類とビジネス例(代表的12種類)
世の中には過剰な防衛機制の塊のような上司もいる。上司がそうなると、組織全体がビジネスの本質から外れ疲弊していく。価値提供よりも「自分を守る」ことが優先され、意思決定は歪み、現場は混乱する。ビジネスに悪影響を及ぼす過剰な防衛機制の事例を挙げながら、防衛機制の代表的12種類を説明する。
1. 抑圧|嫌な記憶を心の奥に押し込む
事例:トラブルを「もう終わったこと」として語らず、学びや再発防止を曖昧なまま次に進む。
2. 否認|現実を認めずに心を守る
事例:「売上不振は季節要因だ」と言い張り、現場の危機感を封じる。
3. 合理化|都合の良い理由で正当化する
事例:新しい提案を「リスクが大きい」「うちには合わない」と一蹴し、現状維持を選ぶ。
4. 投影|自分の感情を相手に押し付ける
事例:自分のマネジメント力は棚に上げて、「〇〇が動かないから」と部下〇〇をディスる。
5. 退行|子どものような行動に戻る
事例:会議で窮地に立つと、拗ねたり、沈黙したりし、会議を機能不全にする。
6. 逃避|現実から目をそらして別のことに没頭する
事例:戦略会議中に資料の出来栄えや提案の仕方の指摘に終始し、肝心の意思決定を先送り。
7. 昇華|欲求を社会的に望ましい形に変える
事例:批判された悔しさをバネに、大きなプロジェクトを成功に導く。(好影響)
8. 置き換え|感情を別の対象にぶつける
事例:部下に直接指摘や指導する度胸がなく、周囲にその部下への不満を風評する。
9. 反動形成|本心と逆の態度をとる
事例:表面上は「信頼しています」と言いながら、裏で「信用できない」と愚痴。
10. 知性化|感情を抑えて理屈で処理する
事例:部下の失敗に寛容な態度を示しながらも、延々とお説教。
11. 打ち消し|嫌な気持ちを帳消しにする行動
事例:あり得ない言葉群での侮辱面談の翌日、手のひらを返した態度で「昨日お伝えしたかったことはですね…」と指導であったとフォロー。
12. 同一化|憧れの相手を真似して安心する
事例:成功者との共通点をアピール、持論が正当だと思い込み愚策を継続。
防衛機制モリモリで仕事をしていないか?
——自覚と対処の2つの視点
① 自分の防衛機制を自覚し、対処する方法
・言い訳が増えていないか?
・問題を軽く見ていないか?
・他人のせいにしていないか?
・過剰に理屈で片付けていないか?
対処ステップ
1.「なぜそう言った?」を自分に問う
2.恐れを事実に置き換える
3.小さな行動で“恐れ”と対峙してみる
4.信頼できる人に“今の気持ち”を言語化する
② 相手の防衛機制に気づかせる方法
・責めない前提を明示する
・恐れを言語化させる質問を投げる
・事実と恐れを分ける
・小さな選択肢を提示する
・“顔を立てる”言葉を添える
私が意識して行動していること
私ももちろん完璧な人間ではない。失敗やトラブルに直面したときこそ、軸が試されると考えている。
私が失敗やトラブルに直面したときに意識していることは、以下の4点である。
1.弱さをさらす
信頼関係を築くため、自分の弱さや不安も率直に言葉にする。これにより、周囲が実態を教えてくれたり、事実集めに動いてくれることがある。
2.自分の原因から向き合う
失敗やトラブルの中で自分の判断ミスや見通しの甘さがあれば、まず自分から認めて謝る。そして、自分がすべきだった行動を共有する。これが信頼関係の土台となり、組織として失敗と向き合う結束力が強くなる。
3.ゼロヒャクで考えない
物事をゼロか百かで決めつけず、グラデーションで考える。失敗やトラブルすべてを仕舞い込まず、まず机上に並べる。そのうえで、優先順位やリスク、使える経営資源を踏まえ、「この件は、いつまでに、ここまでは対処する」と現実的な線引きをする。
4.誹謗中傷は慎む
これは自分の倫理観・道徳観として、絶対にしないと決めている。誹謗中傷をする・しないは、組織に伝染する。誰もが口を開くと誹謗中傷を語り出す組織は醜い。
これらの姿勢、記していてあらためて思ったが、もはや「防衛」することを手放している。その分早く相手軸ゾーンにリーチ出来るかもしれない。
何よりこれらの姿勢は、相手や組織にも伝わり、安心して本音を語る空気を生む。その積み重ねが、組織の温度と成果を上げると信じている。
価値提供の軸を、毎日少しだけ相手側へ
ビジネスは価値交換だ。以前にも述べたが、売上や報酬は「ありがとう」の対価だ。自分本位のサービスに他人は「ありがとう」と思ってもらえるだろうか。
相手が欲している価値、そしてまだ言葉になっていない潜在価値に触れることが、仕事の質を決める。
自分軸は本能的に立ち上がる。しかし、防衛機制を知り、自覚できれば、自分軸をコントロールし、相手軸へのシフトができるようになると考えている。
「正論の置き場所は、自分の中だったか、相手の中だったか」。この問いを、毎日の終わりにそっと置く。それが、組織の温度と成果を上げる小さな習慣だと信じている。
あなたの“正しさ”は、誰のためのものですか?
筆者紹介:風を読む人事家
自動車業界で、人事etc.~海外子会社CEO~人事担当役員を経て当社へ。人事・組織論の長年の実践知を注入し、「社員の幸福感」と「経営へのインパクト」との両立に挑戦中。
週末のライフワークである人事・組織理論の読書の傍らで徒然なるままに書き溜めたブログです。
建設業のリアルな現場での実践知の共有や、人事・組織論の視点から世の中の矛盾や不条理を鋭く、時に皮肉を交えて切り取ります。
業種を問わずさまざまな企業の中で「なんかモヤモヤしてる」「組織の中で立ち止まってる」そんなあなたの思考に一石を投じるヒントがここにあるかもしれません。
2025年7月より当社代表取締役社長
