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#011“頑張る”を解体せよ─「本質」に生きることで手に入る仕事と人生の幸福

なぜあなたの努力は報われないのか?──モヤモヤの正体を暴く

会社において最近私は内心イラついている?疲れている?力の及ばなさに脱力している?
・・・といった原因が特定出来ないモヤつきに支配されています。

ふとしたきっかけでその原因に気づいた途端、みるみる言語化でき、経験や知見と組み合わせて、本記事の執筆に至りました。

私のイラ立ちの原因は、組織の行動や、社内で飛び交う言動や、そして何より私が抱えている仕事群が、現在のこの会社における本質から遠いことの多さが、私の価値観の許容を超えていることだと気づきました。

そこで、「忙しいのに成果が出ない」「頑張っているのに報われない」──そんな悩みを抱えるビジネスパーソンに、その原因は、“本質”からズレた行動にありませんか?という問いから記事を書き進めることとします。

本記事では、ビジネスの現場で本質を極めることの重要性と、余分なものを捨てて本質に注力することがいかに成果と幸福をもたらすかを論理的かつ実践的に解説します。

本質とは何か?成果を生む“核”を見極める力

本質とは、物事の根幹にある価値や目的です。ビジネスにおいては「顧客に価値を提供することによって利益を生み出すこと」「組織の目的を達成すること」などが本質にあたります。

逆に、上司に言われたからやっているだけのこと、形式的な会議、意味のない報告書、惰性で続けている業務などは、本質ではありません。

本質を見極めるには、「目的に対して直接的に貢献しているか?」という問いを常に持つことが重要です。

なぜあなたは遠回りしてしまうのか?

現代のビジネス環境は情報過多であり、課題やタスクも複雑化しています。その中で「やる“べき”こと」「やった方がやらないよりはマシなこと」が増え、「やらなくていいこと」「本質に対して優先順位が低いこと」まで抱え込んでしまう傾向があります。

また、「やる“べき”こと」べき論と言えば、ブログ#003の記事で示した各種「バイアス」や、「前例踏襲」「慣習」「上司の期待」などが、本質から目を逸らさせる要因になります。結果として、目的に直結しない活動に時間やエネルギーを費やしてしまうのです。

本質に直結する行動とは?──成果を生む“選択と集中”の技術

本質に注力するとは、「目的に直結する行動に集中すること」です。

たとえば、営業職であれば「顧客との信頼構築」「提案の質の向上」が本質であり、社内資料の装飾や無意味な会議出席は本質ではありません。

時間とエネルギーを“成果に直結する行動”に集中させることが重要です。

優先順位がすべてを変える──成果と幸福を分ける思考法

優先順位とは、「何を先にやるべきか」を決めること。実はそれ以上に、「何をやらないか」を決めることでもあります。

優先順位がないとどうなるか?

– 本質から遠い仕事に時間を使ってしまう

– 重要な仕事が後回しになり、成果が出ない

– 自分の価値が見えづらくなり、モヤモヤする

– 忙しいのに満足感がない

まさに今の私の状態を表しています。

優先順位をつけるための3つの視点:

1. 目的との距離:この仕事は、目的にどれだけ近いか?

2. インパクトの大きさ:この仕事は、成果にどれだけ影響するか?

3. 自分にしかできないか?:他の人でもできるなら、任せる選択肢もある

捨てる勇気が未来を変える

本質に注力するためには、まず「捨てる」ことが必要です。以下の3ステップで整理しましょう。

1. 可視化:現在の業務・タスクをすべて書き出す

2. 分類:それぞれが「目的に直結しているか」を判断する

3. 削除・委任:目的に直結していないものは捨てるか、適任者に任せる

このプロセスを定期的に行うことで、業務の“純度”が高まり、集中力と成果が向上します。

頑張るな、選べ──思考停止から抜け出す“Not To Do”の実践法

精神論・根性論での「頑張る」は、単に思考停止してるだけではないか考えてみましょう。「頑張ればなんとかなる」と言いながら、意味のない作業に時間を使ってること、あるかもしれません。

そのような時は、「Not To Do リスト(やらないことリスト)」を作成することも有効です。

1. インパクトが小さくて、学びもない仕事

2. 誰でもできる作業

3. やっても自分が成長しないこと

こういうのは、思い切って捨てましょう。これは、やるべきことを明確にするだけでなく、やらないことを明示することで、意思決定のスピードと質を高める手法です。

その分、自分にしかできない仕事に集中する。これが「本質的な働き方」です。

疲れてるのに頑張ってない?──エネルギー最適化の仕事術

私たちのエネルギーには波があります。集中力が高いときに創造的な仕事を行い、疲れているときには単純作業や休息にあてる。場所や状況に応じて仕事を柔軟に切り替えることも、「本質的な成果」を出すために必要です。

つまり、「本質を極める」とは、常に全力で頑張ることではなく、「今この瞬間に最も意味のある行動を選ぶ」ことでもあるのです。

「愛してる」に「なぜ?」と聞かない理由──言葉の奥にある本質

本質に対して“ストライク”か“ボール”かという見方とは別に、適当な比重の置き方といった見方も非常に大切です。

「君!よくやった!!」と上司から言われたとき、ほとんどの人は「ありがとうございます!」と返します。「何がよかったんですか?どこがよかったとお感じですか?具体的に教えていただけますか?」と聞き返す人はほとんどいないでしょう。

これは、言葉が本質を完全に表現できないことを示しています。「よくやった!」の中には「ありがとうございます!」で済ませれば十分な、情報や感情や気持ちといった非言語コミュニケーションが含まれています。人間のコミュニケーションには「省略」や「一般化」が含まれ、言葉の背後にある意図や文脈を読み取る力が求められます。
さらに言えば、「よくやった!」だけでは「ありがとうございます!」と気持ちよく返すには情報が足りず、多少詳しく聞きたいという気持ちが残るケースであっても「私はよくやったんだ・・・」と自分に言い聞かせて、展開を省略する「歪曲」が含まれているケースもあります。

マイクロマネジメントを間違って解釈している上司の指示がエスカレートし、ディープで高度な専門性が必要な領域まで完結させるようアサインされた時に「今?ソコまでやる必要ある?」「ソコまで拘る必要ある?」と憤りを感じたことはないだろうか。
言葉の表面だけでなく奥にある意味を感じて一般的な深さで完結させ、今必要ではないことは省略することも必要です。

ジョブズはなぜ黒しか着なかったのか?──決断疲れと本質思考

ジョブズが毎日同じ黒いタートルネックを着ていた理由は、「決断疲れ(decision fatigue)」を避けるためと言われています。人間の脳は1日にできる意思決定の数に限りがあり、些細な選択にエネルギーを使いたくなかったのです。彼はそのリソースを創造的な判断や重要な意思決定に集中させるため、服装をルーティン化しました。結果的にジョブズはこの服を50〜100枚も所有していたと言われています。

本質を極めるとは?──人生と仕事の“核”に向き合う

ジョブズの服装哲学は、彼の「本質を極める」という人生観の一端にすぎません。彼は常に「本当に必要なものは何か?」を問い続け、製品開発においても徹底的に無駄を排除しました。初代iPhoneに「戻る」ボタンがなかったのも、ユーザー体験の本質を突き詰めた結果です。

彼はまた、直感を重視し、論理だけでなく感性や美意識を磨くことに時間を費やしました。これは、表面的な情報ではなく、物事の「核」に触れるための手段だったのです。

これは前段の合理的に「省略」する話とは意味が違い、本質を突き詰めるという話です。その他のユーザー体験の本質を突き詰めた例として「フォント」の話なども有名です。

上司の指示がズレてる?──本質に引き戻す対話術

現実には、上司からの指示が本質から外れていると感じることもあるでしょう。そのような場合、以下のような対応が有効です:

– 目的を確認する:「この業務の目的をもう少し教えていただけますか?」と丁寧に確認することで、上司自身も目的を再認識するきっかけになります。

– 代替案を提案する:「この方法ではなく、こうすれば目的により近づけるのでは?」と建設的に提案する姿勢が重要です。

– 優先順位を明確にする:「現在AとBの業務を抱えていますが、どちらを優先すべきでしょうか?」と相談することで、上司の判断を仰ぎつつ本質に近づけます。

– 記録を残す:指示内容や目的をメモに残しておくことで、後からの振り返りや改善提案に役立ちます。

重要なのは、対立するのではなく、“目的に沿った成果を出すための対話”を心がけることです。

そもそも、上司自身が、ゴールやそこへ向かう手順、そしてその優先順位などに絶対的な自信を持ち、聞く耳を持たない、聞いたらマウントを取られる職場は、ご愁傷様と言わざるを得ません。

その仕事、やめていい?──本質に戻した3つの実例

事例1:形式的な報告書作成の指示

ある社員が、週次で提出する報告書の作成を上司から指示された。しかし、その報告書は誰も読まず、内容も毎週ほぼ同じだった。

対応例:社員は「この報告書の目的は何でしょうか?」と上司に確認し、「進捗の把握」が目的であることを確認。そこで、報告書を簡易な箇条書き形式に変更し、必要な情報だけを共有することで、作業時間を半分に削減した。

事例2:無意味な会議への参加

あるプロジェクトメンバーが、毎週の定例会議に参加するよう指示されたが、議題が自分の業務に関係なく、発言の機会もなかった。

対応例:本人は「この会議で私が果たすべき役割は何でしょうか?」と上司に相談。結果、議事録を確認するだけで十分と判断され、会議参加を免除された。

事例3:装飾重視の資料作成

マーケティング部門で、社内プレゼン資料のデザインに過度な時間をかけるよう指示された。内容よりも見栄えが重視されていた。

対応例:担当者は「この資料の目的は意思決定の支援です」と再確認し、デザインよりも論点整理に注力。上司に「この構成で意思決定に必要な情報は網羅されています」と説明し、承認を得た。

報告書・会議・資料において、本記事を読まれて、短絡的にやめるという結論出しと行動の前に、これらの例のように上司と会話を大切にしてください。なぜなら上司にとっては必要なのですが、目的を適切かつ十分に伝えられていないケースが多分にあると思われるからです。

本質を見抜く人は何が違う?──5つの共通点

– 「目的は何か?」を常に問い続けている

– 「やらないこと」を明確にしている

– 判断基準がシンプルでブレない

– 情報に振り回されず、自分の軸を持っている

– 成果に対して高い再現性を持っている

本質に集中すると何が起きる?──成果・幸福・自由の連鎖

– 成果が出やすくなる(インパクトが大きい)

– 判断が早くなる(迷いが減る)

– ストレスが減る(無駄なタスクがない)

– 自己効力感が高まる(自分の価値を実感できる)

– ワークライフバランスが整う(時間の使い方が明確)

さらに、組織全体で本質的な働き方が浸透すれば、意思決定のスピードが上がり、イノベーションが生まれやすくなります。

毎日5分で変わる──本質思考を育てる習慣術

– 毎朝「今日の目的は何か?」を明確にする

– 週に一度「やらないことリスト」を見直す

– 会議や資料作成の前に「これは何のためか?」と自問する

– 情報を受け取るときは「これは自分の目的に関係あるか?」を考える

– 1日の終わりに「本質的な行動ができたか?」を振り返る

自分を知ることがすべての始まり──本質的な幸せの条件

本質を極めるためには、まず「自分を知る」ことが不可欠です。自分の価値観、強み、弱み、何に喜びを感じるのか。これらを明確にすることで、他人の期待や社会のノイズに惑わされず、自分の軸で生きることができます。

- 何が好き?

- 何に怒りを感じる?

- どんな時にワクワクする?

こういう問いに答えていくと、自分の価値観が見えてくる。
その価値観に沿って行動すると、自己実現につながる。
そして、「自分はできる」という自己効力感が生まれる。

それが、「本質的な幸せ」につながっていくのだと思います。

人生は短い。だからこそ“本質”に生きる

私は55歳でキャリアチェンジをしています。置かれていた環境が、自分の価値観、強み、喜びの本質のストライクゾーンから外れていて、有限な人生において、定年退職までの5年間を、ボール球を打ってファールを続けるなんて耐えられませんでした。ストライクゾーンの球をフルスイングする人生を送りたかったのです。

誰がいつ死ぬかなんて、誰にも分かりません。
だからこそ、今この瞬間を「本質的に生きる」ことが大事だと思いませんか?

- 流行に流されない

-“べき論”に縛られない

-自分の価値観で選ぶ

そうやって生きると、人生がシンプルになります。
そして、シンプルな人生ほど、豊かだと気づくことでしょう。

本質に向き合う勇気が、あなたの可能性を最大化する

本質を極めるとは、決して難しいことではありません。むしろ、余分なものを捨て、シンプルに生きることです。

ビジネスの現場で成果を出し、同時に自分らしく生きるために──今こそ「本質に注力するという選択をしてみませんか?

本質に向き合うことは、あなた自身の可能性を最大化する第一歩です。

筆者紹介:風を読む人事家
自動車業界で、人事~海外子会社CEO~人事担当役員などを経て当社へ。社員の幸福感・血の通った組織・業績と経営へのインパクトに拘って、あらゆる人事・組織の理論と実践を行き来しながら、組織という名の“生き物”と格闘してきた。フィールドを建設業界に移し、今日も人と組織の“幸福感”を追求中。
週末のライフワークである人事・組織理論の読書の傍らで徒然なるままに書き溜めたブログです。
建設業のリアルな現場でも実践し得られたことの共有や、人事・組織論の視点から、世の中の矛盾や不条理を鋭く、時に皮肉を交えて切り取ります。
業種を問わずさまざまな企業の中で「なんとなくモヤモヤしている」「組織の中で立ち止まっている」そんなあなたの思考に一石を投じるヒントがここにあるかもしれません。