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#024 僕の“自分らしさ”のルーツは、スナフキンにあった件

「自分らしさ」を探すヒント

私が以前執筆した記事「#021“自分らしさ”を解体せよ——真の“幸せ”を生きる旅へ」は、自社ホームページや no+e で多くの方に読んでいただき、たくさんのご共感をいただいた。

この記事では、「幸せとは何か」「自分らしさとは何か」という普遍的な問いに向き合い、キャリアコンサルタントや心理学の視点から、“自分らしさ”を見つけるためのヒントや、日々の悩み・迷いとどう向き合うかを綴っている。
特に、「見たくない自分も受け入れる」「経験に意味を見出す力を育てる」「“他人事の世界”に揺さぶられたとき、自分の価値観を見直す」など、読者が自分自身の“根っこ”とつながり直すための考え方が、多くの方の心に響いたようだ。
「自分の人生を自分の足で歩く勇気をもらえた」「自分の“根っこ”を思い出すきっかけになった」といった声が今なお寄せられ、記事にした甲斐があった。

今回の記事は、“自分らしさ”を探す“小旅行”ともいうべき簡単な診断方法「ライフデザイン・インタビュー」で、自分のキャリアの原点や「自分らしさ」の本質に迫ることで、「自分らしさを探したい」「本当の幸せを見つけたい」と願うすべての方に、少しでもヒントや勇気を届けられたらと願っている。

プロローグ:自分らしさを探す小旅行のはじまり

「自分らしさって何だろう?」
キャリアの節目や人生の転機に、ふとそんな問いが頭をよぎる。日々の仕事や組織の中で、役割や期待に応えようとするうちに、いつの間にか“本当の自分”がどこか遠くに行ってしまったような感覚を覚えることがある。
キャリアコンサルタントの勉強をしていく中で、私は「ライフデザイン・インタビュー」という手法に出会った。キャリア構成理論のサビカス博士が提唱するこのインタビューは、過去の経験や大切にしてきた価値観を丁寧に掘り下げることで、自分らしさの根っこを見つけ出すのに効果的だ。

「自分のキャリアの原点はどこにあるのか?」
そんな問いを胸に、僕はこの旅に出ることにした。

ChatGPTと会話する「ライフデザイン・インタビュー」——自分探しに効く5つの問い

「自分らしさって何だろう?」という問いに向き合うとき、サビカスのライフデザイン・インタビューは、驚くほど深く、自分の“核”に触れる手法だ。
この記事では、私自身がChatGPTにインタビューしてもらう対話形式で展開し、自分自身の物語が言語化され、人生のテーマが浮かび上がったことを忠実に再現しながら、「自分探し」に効くことを読者の皆さんにお伝えしたい。

ライフデザイン・インタビューとは?

米国のキャリア心理学者マーク・サビカス博士が提唱した、キャリア構築理論に基づくインタビュー手法。
5つの質問を通じて、相談者の「ライフテーマ(人生の物語)」を浮かび上がらせる。
この手法の特徴は、過去の記憶や憧れを手がかりに、現在の価値観や未来の方向性を言語化できること
つまり、「自分探し」を単なる思考ではなく、物語として再発見するプロセスなのだ。

実際のやり取り(ChatGPTとの対話)

私:
サビカスのライフデザイン・インタビューの5つの構成要素で私に質問して、私の価値観・動機・人生のテーマを探ってください。
ChatGPT:
それでは、サビカスのライフデザイン・インタビューを実施させていただきます。
以下の5つの質問にお答えいただけますか?
ご自身の言葉で、自由に語っていただければ嬉しいです。

① 幼少期に憧れていた人物は?

私:
ムーミンに登場するスナフキン。自由を愛し、所有や束縛、執着を拒む哲学者のような存在。旅と孤独を創造の源としながら、ムーミンが困ったときには迷わず助け、友情を大切にし仲間に寄り添う姿がしぶくてかっこいいと思えた。
ChatGPT:
孤高と自由と愛。その全てを大切にする価値観が見えてきます。「陰日向で本質を支える存在」であり、「自由と知性を重んじる生き方」を象徴していますね。

② 好きだった雑誌やテレビ番組は?

私:
テレビドラマの「西部警察」に熱中していた。悪をくじき弱きを助ける、悪との銃撃戦やカーアクションはもちろん魅力だったが、弱きを助ける部分には人情が溢れていた。
ChatGPT:
正義感と人情の両立。冷徹な正義ではなく、温かみのある関係性を重視する価値観が見えてきます。

③ 好きな物語は?

私:
映画『ショーシャンクの空に』が好きだった。長年の苦労や努力の先に、それに比例した大きな喜びがある。
ChatGPT:
希望・忍耐・報われる努力。不自由な状況から抜け出し、自分らしく生きることへの渇望が感じられます。

④ 好きな格言・名言は?

私:
「やってやれないことはない、やらずに出来るわけがない」
小学生の時に尊敬していた先生が常に仰っていた言葉。私はこの先生に見出され、小学校3年生から31歳の社会人までバスケットに没頭し、人間形成をすることになる。
ChatGPT :
努力の尊さ、師との出会い、継続と挑戦。人生を変えるような言葉が、あなたの行動原理になっていることが伝わってきます。

⑤ 幼少期の印象的な思い出は?

私:
多くの人に愛されて育ったこと。両親はもとより、祖父母や親戚中から愛してもらった。小学校や中学校では先生方からもとても可愛がっていただいた記憶が多い。
ChatGPT :
愛される経験が、他者への愛と共感の源泉となっているようです。組織の中で「家族愛のような関係性」を築こうとする姿勢にもつながっています。——すべてに通じる根底の価値観なのかもしれませんね。

浮かび上がったライフテーマ

ChatGPT :
ここまでの対話から、あなたのキャリア物語を簡単にまとめてみます:
「孤独を抱えながらも、愛と正義を守るために、自由と責任を引き受けて歩む旅人」
子どもの頃から、表に出過ぎずとも確かな存在感で仲間を支え、自由に生きながらも哲学的に問いかけるスナフキンに惹かれていた。
その根底には「愛」があり、目立つことよりも、誰かのために静かに力を尽くすことに価値を見出してきた。
今もなお仕事を通じて、地域や組織・人の「真価」を引き出すことに挑戦している。
このテーマは、私がこれまでブログ記事でも語ってき通り、私の価値観と見事に一致していた。

なぜ「自分探し」に効くのか?

5つの質問には次のような意味がある。

① 幼少期に憧れていた人物は?
▶︎ 人生のロールモデル

②   好きだった雑誌やテレビ番組は?
▶︎ 関心領域

③   好きな物語は?
▶︎ 世界観や価値観。人生の台本

④   好きな名言は?
▶︎ 信念、行動原理、自分自身へのアドバイス

⑤   幼少期の印象的な思い出は?
▶︎ 人生のテーマ。ライフテーマの核心

このインタビューは、自分の過去・価値観・物語をつなぎ直す作業となる。
単なる自己分析ではなく、「自分という物語」を再発見する体験だ。
そしてこれらは未来をも導く、すなわち物語はこの後も続いていくのだ。
私の場合、今の仕事や組織づくりに深く根を張っていることに気づかされた。
自分の“好き”や“憧れ”は、今の自分をつくっている。
それを言葉にすることで、未来の選択に確信が持てるようになる。

「自分らしさ」に迷ったとき、ぜひこの5つの問いを自分に投げかけてみてほしい。

なぜ、私はスナフキンに惹かれたのか?

子どもの頃、テレビの前でムーミンを見ていた。愛らしいキャラクターたちの中で、なぜか私はいつもスナフキンに心を奪われた。彼はいつも一人で旅をしていて、誰にも縛られず、自由気ままに生きている。けれど、必要なときにはムーミンたちのもとに戻ってきて、静かに寄り添い、哲学的に問いかける。その姿に私は「渋さ」を感じていた。
大人になり、経営者という立場になった今、あの頃のスナフキンの姿が、ふと自分と重なることがある。群れず、でも誰かのために動く。自由を愛しながらも、孤独と向き合う。
ライフデザイン・インタビューの結果がキャリアといかに結びつくかを立証する意味で、スナフキン的な生き方と、私のキャリアとを対比してみたい。

キャリアのルーツを掘り下げる

思い返せば、子どもの頃から「みんなと同じ」よりも「自分らしさ」を大切にしてきた。
でも、完全な一匹狼ではいられない。仲間や組織の中で役割を果たし、誰かの役に立ちたいという気持ちも強かった。
学生時代も社会人になってからも、リーダー的な立場は多かった。しかし、本当に自分がしっくり来るのは、ナンバー2や番頭的な立場だという自覚があって、チームから最高のパフォーマンスとアウトプットを引き出すことが喜びだった。リーダー時のマネジメントスタイルも常に主役はチームメイトというスタイルにやりがいを感じてきた。
前職で九州の子会社で番頭を務めた時、海外子会社でCEOを務めた時、仲間達に本質を問いかけ、一緒になって自分らしさを追求し、気がついたら何やら一緒に幸せになっていた。現職でもそうなりたいと願っている。
スナフキンは風のように自由に放浪しながら、哲学的な問いをムーミンに投げかける。表に出過ぎず、でも確かな存在感で周囲に影響を与える人物だった。
今振り返ると、私のキャリアの根底には、「誰かのために陰日向となって動くこと」「目立たなくても本質的な価値を生むこと」という価値観が流れている。──それはまさに、スナフキンが体現していた生き方だった。

愛と孤高の間で——自分らしいキャリアのデザイン

インタビューの最後に出てきたキーワードは「愛」だった。
「愛」とは、単なる感情ではなく、誰かや何かを大切に思い、行動する力。
組織の中で、常に根底には「誰かのために」という思いがある。

なぜスナフキンだったのか。
それは、「自由」と「孤高」と「愛」の間で揺れ動きながらも、自分の信念を貫き、誰かのために力を尽くす——私自身がそんな生き方に憧れているからに他ならない。(時々、自分でも面倒な生き方だと思うがやめられない…)
誰かに依存せず、でも誰かのために動く。孤独であることと誰かのために動くこととは、私の中では表裏一体なのだ。
どれも大切にしながら、自分らしいキャリアをデザインしていきたいと願っていることは確かだ。

エピローグ:キャリアは物語である

心理学者マーク・サビカスは「キャリア構成理論」を提唱し、キャリアを「物語」として捉えることの重要性を説いている。 彼のライフデザイン・インタビューでは、憧れた人物、好きなストーリーや言葉などを語ることで、自分のキャリアの意味を再発見していく。

私自身、このインタビューを通じて、自分のキャリアは「誰かのために陰日向となって動き、目立たなくても本質的な価値を生みだす」物語であることに気づいた。 そして、その物語の根底には「愛」がある。 社員への愛、地域への愛、家族への愛、誰かへの愛。 それが、私の行動の原動力になっている。⸻ちなみに、放浪の登山旅に出て自然と向き合って、旅先で人情に触れ、心を整えることをしないと苦しくなる…ときている。

あなたのキャリアにも物語がある

この記事を読んでくださっているあなたにも、きっと「物語」があるはずだ。 子どもの頃に憧れたもの、心に残るストーリーや言葉──それらを紡ぎ直すことで、今のキャリアに新たな意味が生まれるかもしれない。

キャリアは選ぶものではなく、構成するもの。 そしてその構成の中心には、あなた自身の「価値観」や「愛」がある。⸻

もしこの物語に共感していただけたなら、ぜひあなた自身のキャリア物語も振り返ってみて欲しい。

ぜひ、あなたもこの5つの問いを自分に投げかけてみてください。きっと、キャリアの物語が新しい意味を持ち始めます。

あなたのキャリアのルーツは、どこにありますか?

「自分らしさ」を探す旅は、きっと誰にとっても価値あるものだと思います。

筆者紹介:風を読む人事家
自動車業界で、人事etc.~海外子会社CEO~人事担当役員などを経て当社へ。社員の幸福感と、業績と経営へのインパクトとの両立に拘って、あらゆる人事・組織の理論と実践を行き来しながら、組織という名の“生き物”と格闘してきた。フィールドを建設業界に移し、今日も人と組織の“幸福感”を追求中。
週末のライフワークである人事・組織理論の読書の傍らで徒然なるままに書き溜めたブログです。
建設業のリアルな現場でも実践し得られたことの共有や、人事・組織論の視点から、世の中の矛盾や不条理を鋭く、時に皮肉を交えて切り取ります。
業種を問わずさまざまな企業の中で「なんとなくモヤモヤしている」「組織の中で立ち止まっている」そんなあなたの思考に一石を投じるヒントがここにあるかもしれません。
2025年7月より当社代表取締役社長