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#007「自由に発言して」って言われた瞬間、全員が“言わない自由”を選ぶ会議の謎

会議でナゼ発言が出ないのか? ―「沈黙の組織」を“解体”するために、浜松・静岡から始める処方箋

「何か意見ありますか?」

この一言で、会議室の空気が凍りつく。沈黙。
目線を逸らす参加者。資料をめくるフリ。誰かが咳払いをして、時間だけが過ぎていく。

浜松・静岡の企業に限らず、日本全国で見られるこの “ 会議の無言地獄 ”。なぜ、こんなにも発言が出ないのか?なぜ、活発な議論が生まれないのか?そして、どうすれば“発言が飛び交う会議”に変えられるのか?

答えは、これまでに記したブログの中にあることに気づき、今回はそのエッセンスを“解体”して、モヤモヤしているあなたにスカッとお届けしたいと思います。

1. 「空気を読む」ことが、組織を腐らせる

まずは#003の記事から引用しよう。

「正しいことより、空気を読むことが優先される」 「成果を出そうが、“上の顔色を伺う力”がある人が評価される」

この“空気”という名のバイアスが、発言を封じている。会議で発言しないのは、能力の問題ではない。組織に染みついた“空気の支配”が、あなたの判断と行動を知らず知らずのうちに縛っているのだ。

バイアスは無意識に人を支配する。たとえば「上司の意見には反論しない」「前例があるなら従う」「失敗したら責められる」など、思考停止のルールが会議室を支配している。

この空気を“解体”しない限り、発言は生まれない。

2. 「老害構造」が異論を潰す

#004の記事では、過去の成功体験を押し付ける“老害構造”が会議を蝕む様子を描写した。

「それ、10年前に失敗したからダメ」 「俺の時代はこうだった」 「若手は黙って下積みしろ」

このような“成功の呪縛”が、会議を冷凍保存している。新しいアイデアは「過去の失敗」という名の棺桶に即埋葬され、若手の声は「まだ早い」と一蹴される。

結果、発言することがリスクになり、沈黙が最適解になる。

3. 「失敗を許す」と言いながら、ネチネチ責める組織

#006の記事では、「Fail Fast」ではなく「Try Fast」の文化が必要だと説いた。

「失敗してもいい」と言ったの、誰だっけ? 実際には、失敗するとネチネチ言われる。異論を出すと「どーしたらそんな発想になる!?」と詰められる。

この“言ってることとやってることが違う”組織では、誰も挑戦しない。発言は「失敗の種」とみなされ、責任を取らされるリスクがある。

だから、発言しない。だから、沈黙する。

4. トップマネジメントが“空気”を作っている

#002の記事では、トップのリーダーシップが組織風土に与える影響を説いた。

「社長がどんな人かで、組織の空気は決まる」 「心理的安全性があるかどうかは、トップの姿勢次第」

つまり、会議で発言が出ないのは、社長の責任でもある。トップが覚悟をもって「異論を歓迎する」「失敗を許容する」「若手の声を拾う」姿勢を見せなければ、誰も安心して発言できない。

むしろトップにはしごを外されるほどリスキーなことはなく、沈黙が最も安全な選択肢になる。

5. では、どうすれば“発言が飛び交う会議”になるのか?

ここからは、処方箋だ。浜松・静岡の企業が“解体”すべきポイントを、ズバリ挙げよう。

■ 空気の“見える化”をする

まずは、会議の空気を言語化する。「なぜ黙っているのか?」「何が発言を妨げているのか?」を、参加者自身に問いかける。

#003の記事でも紹介されていた4つの問いを使おう:

1.これは本当に正しいのか?
2.なぜ私は黙っているのか?
3.誰のために働いているのか?
4.このまま10年後も同じ状況でいたいか?

この問いが、沈黙の空気を“解体”する第一歩になる。

■ “老害構造”を見抜き、無効化する

#004の記事で紹介された「成功体験の押し付け」は、会議の発言を潰す最大の障害だ。

対策はこうだ:

・「過去の成功」は参考にするが、絶対視しない
・「若手の声」を拾う仕組みを作る(例:若手限定の提案会議)
・「老害発言」を笑いに変えるユーモアを持つ

「それ、昭和のやり方ですよね?」と軽くツッコめる空気が、会議を救う。

■ 「Try Fast」の文化を根付かせる

#006の記事の通り、失敗を責める文化では発言は生まれない。

必要なのは、「Try Fast」=まずやってみる文化。

・発言した人を褒める
・失敗したら「ナイスチャレンジ」と言う
・成功よりも「学び」を評価する

この文化が根付けば、会議は“発言の実験場”になる。

■ トップが“聞く姿勢”を見せる

#002の記事の通り、トップの姿勢がすべてを決める。

・社長が会議で「異論を歓迎する」と明言する
・上司が「それ、面白いね」とリアクションする
・発言者を守るルールを作る(例:発言に対する否定は禁止など)
・トップが“聞く姿勢”を見せれば、沈黙は破られる。

6. 浜松・静岡から始める“解体”のススメ

浜松・静岡の企業には、創業家文化や年功序列、縦社会に最適化された組織などが根強く残っている。だからこそ、組織の“解体”が必要だ。

・空気を解体する
・老害構造を解体する
・失敗を責める文化を解体する
・トップの独裁を解体する

そして、心理的安全性とエンゲージメントを高める“再構築”を始めよう。

7. 最後に:あなたの沈黙が、組織を腐らせる

会議で黙っているあなた。それは、あなたのせいじゃない。でも、あなたの責任かもしれない。

沈黙は、組織を腐らせる。発言は、組織を変える。

だからこそ、まずはあなたから始めよう。違和感を言葉にする勇気を持とう。過去のブログには、そのヒントがすでにある。

浜松・静岡から、“解体”の風を起こそう。

筆者紹介:風を読む人事家(火曜日・金曜日ブログ担当)
異業種で人事・総務の世界に身を投じて30年。社員の幸福感・血の通った組織・業績と経営へのインパクトに拘って、あらゆる人事・組織の理論と実践を行き来しながら、組織という名の“生き物”と格闘してきた。建設業に飛び込んで半年。今日も人と組織の“幸福感”を観察中。
週末のライフワークである人事・組織理論の読書の傍らでブログを書き溜めて火曜日・金曜日に予約配信中。
建設業のリアルな現場でも実践し得られたことの共有や、人事・総務の視点から、世の中の矛盾や不条理を鋭く、時に皮肉を交えて切り取ります。
業種を問わずさまざまな企業の中で「なんとなくモヤモヤしている」「組織の中で立ち止まっている」そんなあなたの思考に一石を投じるヒントがここにあるかもしれません。